2008年05月30日

「養生」ということば

 最近「養生(ようじょう)」という言葉をよく耳にします。この言葉もおもしろいですね。
 じつは、私の家の外壁のペンキがはげてしまって、それを DIY でやってみようと、今「塗装入門」の本を集めて調べているところなのです。

 内装を変えるときなど、ペンキがよけいなものに付かないようにプラスティックのカバーを掛けて保護することという意味で使われます。

 たしかもともとは「病気から回復するように、健康に気遣う」ことという意味だったのに、こういう使われ方をすることに若干の違和感を感じます。

 そこでさっそく「広辞苑」で調べてみました。

1.生命を養うこと。健康の増進をはかること。衛生を守ること。摂生せっせい。方丈記「つねにありき、つねに働くは、―なるべし」
2.病気・病後の手当をすること。保養。太閤書簡天正14年「よくよく御―候べく候」。「―につとめる」
3.土木・建築で、モルタルや打ち終わったコンクリートが十分硬化するように保護すること。また、建築中に、材や柱の面・角に紙を張る、砥との粉を塗る、プラスチックのカバーをかけるなどの保護、広くは工事箇所の防護をすること。
4.植物の生育を助成・保護するために、支柱・敷藁しきわら・施肥などの手当をすること。

 建築では、たぶん「コンクリートが固まるように塗った部分を保護すること」というような意味だったのでしょう。コンクリートが生き物のように扱われているのですね。
 でも、それが塗装部分ではないところを保護するために使われるようになったところがおもしろい。

 こんなところにおもしろさを感じるのは、私だけかもしれませんが…………。



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2008年05月29日

ロジスティクスということば

 最近トラックの横に「ロジスティクス」という言葉が書かれてあるのをよく見る。「物流」と「輸送」を併せ持った言葉のようである。

 この言葉の意味がわかったのは「ローマ人の物語13巻」を読んでいてわかった。
「ローマ軍は兵站で勝つ」という言葉がこの話にはよく出てくる。つまり、ローマ軍は前線への武器や食糧の補充線を確保したうえで戦いに望むのがローマ軍の強さであるということを示したものである。
 この「兵站」が実はロジスティクなのである。
 ちなみに「広辞苑」では

 作戦軍のために、後方にあって連絡・交通を確保し、車両・軍需品の前送・補給・修理などに任ずる機関・任務。ロジスティックス。「―部」

とあった。つまりは軍事用語なのである。

 ここから転じて 「情報マネジメント辞典」には

 モノの機能を最大限に発揮させる“支援”に着目した概念で、供給者と需要者の間における原材料や製品・商品の調達・供給を中核としながら、製品やサービスの企画、開発、設計、製造から、運用、撤去、廃棄、設備メンテナンスに至るライフサイクル全体を対象とし、それらの効率化・最適化する無駄のない企業間取引と物流の仕組みを意味する。
 もともとは軍事用語で、兵員・兵器・弾薬・食料・衣類・医薬品など作戦に必要となる資源を作戦計画に従って必要量を計算し、計画、確保、管理、補給する活動をいう。この意味では兵站(へいたん)と訳される。ビジネスの世界で用いられる場合は、「兵站」と区別して、ビジネス・ロジスティクスともいう。


とあった。

 ただし「ローマ人の物語」によると、ローマ人はこのギリシャ語語源の言葉を使わずに「アルス als」というラテン語を使ったのだそうである。
 ラテン語の「アルス」は art (技術)の語源とも成ることばで、ローマ人は「兵站」をもっと広い意味でとらえていたことを示している。単に兵器や食糧を戦場に届けるというだけではなく、戦を「後方支援」することという感じである。

 「必要なところに必要なものを届けることによる支援」という意味なら、ミャンマーや四川大地震の被害地域に緊急の援助物資を届けるという今こそ世界的な規模で「ロジスティクス」が必要とされているということであろう。

 
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2008年05月27日

ナガミヒナゲシ、トキワツユクサ、ヒルサキモモイロツキミソウ

 わがやの狭い庭には、今、ヒルサキモモイロツキミソウ、ナガミヒナゲシ、トキワツユクサが咲いています。

 夏に咲く「タカサゴユリ」とともに、これらはいずれも繁殖力が旺盛で、ここ数年の間に、あちこちに蔓延している帰化植物です。最近勢力を広げてきた花なので、植物図鑑には名前が載っていなくて、名前を見つけるのに苦労します。


ヒナゲシ ナガミヒナゲシは、ちょっと盛りが過ぎたようですが、この花は、地中海沿岸が原産地のケシ科の植物です。ケシ科というと問題の花ですが、この花は別にそういうことはないようです。アルカリ性土壌を好むらしく、コンクリートの道路の割れ目に生えたりします。秋から冬に芽生え、春に咲き出すというのは地中海原産の植物の特徴らしく、夏は苦手のようです。

 
ツユクサ1トキワツユクサは茎からもいで生けておくと、ひげ根が生えてきて、それを再び土に埋めるとあっという間に広がっていきます。わがやの庭のそれはそのようにして増えたものです。
 ツユクサ科で南アメリカ原産です。葉はツユクサに似ていますが、花は白く三角形でツユクサには似ていません。昨年はそれほどでもなかったのですが、今年はたくさんの花をつけました。年によって、勢いが異なるようです。
 
ツユクサ2なかには、こういう葉のものもありました。

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2008年05月26日

スーフィーの瞑想文様


スーフィー もう20年以上前のことですが、本屋で立ち読みした本に「スーフィーの瞑想文様」という幾何学紋様がでていました。
 何という本かは忘れてしまったのですが、その文様を思い出して作図してみたものが、本などを整理していたら発見されました。
 そのときは、デジカメもケイタイもありませんでしたし、あったとしても本屋で撮影するのは、やはり気がとがめます。そこでそれを記憶してできるだけ正確に描いてみたのですが……………。

 その本にどのような注釈が書かれていたかも、忘れてしまったのですが、この図を見ていると、どことなく秘められたパワーが湧き出てくるような気がしませんか? ちょっと神秘的で不思議な文様です。

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カトリック映画賞作品「ひめゆり」上映会のお知らせ


ひめゆり 2008年度カトリック映画賞は、柴田昌平監督「ひめゆり」に決まりました。

 この作品は、沖縄戦における「ひめゆり部隊」の生存者たちが、証言として語ったものを丹念に記録したドキュメンタリー映画です。


 
少女たちはなぜ死ななければならなかったのか
 自らだけが生き残ってしまったという
 自責の思いを持つひめゆり学徒の生存者たちが
 遺影の並ぶ暗い展示室で
 若き友に今も語りかけている

 案内のチラシに出ていた言葉です。

「まもなく、私たちは70歳になります。いつまで生きていられるかわかりません。私たちの体験をきちんとした形で映像で記録できないでしょうか。遺言として残したいのです。」
 という生存者たちの願いに応えて、柴田昌平監督が13年間にわたり、22人の証言を撮影して、編集したものです。

授賞式及び上映会は
 7月4日(金)
 なかの ZERO 小ホール
 開場 17時 授賞式及び上映 18時
 上映後監督講演も予定されております。
 チケットは1000円
 前売りは、聖イグナチオ教会売店、サンパウロなどで販売されております。

カトリック映画賞の選定はSIGNIS Japan(日本カトリックメディア協議会)が行っており、私もその選定に参加しました。

 日本人としてどうしても聞いておかなければならない貴重な「証言」だと思います。

 

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2008年05月23日

シンシア・ライラント「神さまが………」を図書館で見つけた


ライラント 横浜市立鶴見図書館でこんな本を見つけました。

 「神さまが………」シンシア・ライラント著 訳・絵 ささめゆき 偕成社刊
 英語では「God Went to Beauty School」by Cynthia Rylant

「この本はシンシア・ライラントの4作目。神さまが人間世界で生活をしてみると、どんなことが起こるのでしょうか。神さまがビューティスクールに行った。神さまがお医者さんに行った。神さまが風邪をひいた。等々、ユーモアもある短編話です。」

という紹介がジュンク堂のホームページにありました。

たとえば

神さまがビューティスクールに行った

上手にパーマをかけられるといいなと
ビューティスクールに入学した神さまだが
途中でネイルアートに夢中になってしまった
それも卒業と同時にお店を出すほどの熱の入れよう
看板は
<ジムのネイルサロン>
本当は
<神さまのネイルサロン>と呼ばれたかったが、
そんなことをしたら
みだりに神の名をつかったって
いわれそうだし
神さまの店だったら
チップをおかなくてもいいんじゃないの
というお客があらわれそうだしね
それにしても
よくネイルアートにはまったもんだ
だいたいが人間の手が好きだった
自分がつくったもののなかで最高の傑作の一つが
人間の手だったから
そっとてのひらに
お客さんの手をのせて
ほっそりとした指を見ると
うっとりしてしまう
なんと関節の繊細なこと
まるで鳥の羽のよう
しばらく、じっと見とれて
すべての爪に気に入った色をぬる
そしてこういう
「なんとキレイなんだ」
神さまが言うのだから
これは本当


神さまが風邪をひいた

神さまはまるで風の子
これまで一度も風邪などひいたことはなかった
それで得意顔
ところがここにきて
鼻水ぐちょぐちょ
風邪をひいては
威厳も保たもてない
「汝、それをするなかれ」
と雷を轟かすところ
「汝、それをハクション!」
では、だれもが笑ってしまう
おまけに
神さまは
コミックとジュースがほしかった
さらにはベッドの側でやさしく看病してくれる
誰かさんもほしかった
それで古い友だちマザー・テレサに
電話したってわけ
お見舞いに来てちょうだい
ついでにコミックも買ってきて
もちろんマザー・テレサはその通りにした
マザー・テレサったら
苦しんでいる人を愛してくれるのだ
たとえそれが神さまであっても
というより
神さまだからなおさら大事に
するんでしょうけれどね


 こういう調子である。
 この「神さま」は、のんびり屋でやさしくて、好奇心と冒険心が旺盛で、あいきょうがあって、親しみやすく、でもさびしがりやで、ちょっとぬけていて、威厳がなくて……………。でもやっぱり神さまだと思わせるのですね。

 シンシア・ライラントはアメリカ、ヴァージニア州1954年生まれの絵本作家、童話作家。
 この作家の他の著作も読んでみたくなったし、英語のオリジナルも読んでみたくなった。


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2008年05月21日

「21世紀の森」でノルディック・ウォーキングを体験しました。

 5月17日に「県立21世紀の森」が主催した「森林ウォーク」に参加したら、ノルディック・ウォーキングというのを教わりました。
 これはスキーのストックのようなつえを2本持って歩くウォーキングです。ノルディック・スキーというのは冬季オリンピックの種目になっているので、知ってはいましたが、これは知りませんでした。
 ノルディックというのは北欧風のという意味です。
 ノルディック・ウォーキングは正式にはディメンチア・ウォーキング(物忘れウォーキング)と呼ばれ、クロスカントリースキーの競技会でスキー板を忘れた選手がストックだけでウォーキングしたことが始まりで、クロスカントリースキーのオフシーズンの練習用に使われ出し、フィットネス・ウォーキングとして広まりつつあるということです。

 ただ単に歩くだけだと、足腰だけの下半身運動になってしまいますが、これはストックを使って体を前に押し出すことをするので、首や肩を使ってより全身運動となり、歩くときも膝や足、腰の負担を減らすことができるといわれています。
 実際に体験して、なるほどという感じです。これならより長距離をより速く疲れずに歩けるかなという気がしました。

 これはどちらかというと山登り用と言うよりも平坦な道あるいは起伏の少ない山道を歩くのに向いているかもしれません。
 ただストックがやや高価なようで、これを購入するかどうか悩んでしまいます。
 それと、グローブとストックがくっついているので、ひたすら歩くにはいいのですが、私のように森を観察したり、デジカメで撮影したりというのにはちょっと難ありという感じです。

 「県立21世紀の森」もなかなかいいところです。こちらはヤマビルの被害には遭いませんでした。違う季節にまた訪れようと思っています。
 ただ、車以外でのアクセスに時間がかかります。車をあまり使いたくないわたしは、いきは御殿場線山北駅から1時間半、帰りは大雄山線大雄山駅まで2時間かけて歩きました。「県立21世紀の森」にいくまでのウォーキングもなかなかよかったし、大雄山線というのに乗ったのは初めてでよかったのですが……………。
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2008年05月20日

榎本武揚という「万能人」

 榎本武揚という人物がおもしろい。
 5月18日の毎日新聞に「近代日本の万能人・榎本武揚」という本の書評が載っていたのを読んで知った。

 榎本武揚といえば函館五稜郭の戦いで大鳥圭介や土方歳三らとともに官軍と戦い、黒田清隆の説得で降服したことと、旧幕臣でありながら維新政府の要職を務め、黒田清隆に認められ北海道開拓使で働いたり、外務大臣として条約改正交渉にあたったことで日本史に登場する人物である。

 この書では、榎本の「万能人ぶり」が紹介されていたが、こういう人物であることは知らなかった。

 彼は行政官であり、外交官であり、政治家であり、また多くの学会を創設した学者でもあった。「維新政府最良の官僚」とも言われている。

 少年の時から昌平坂学問所に学び、ジョン万次郎から英語をまなび、さらに海軍伝習所にて西洋の学問に接する。彼の万能ぶりは、特に1862年から5年間のオランダに留学したときに身につけたという。
 軍艦について学ぶことから関連して造船、砲術、化学、物理学、地学、金属学、数学などを学ぶ。プロシア=オーストリア戦争においては観戦武官として近代戦争を知る。地学や国際法、農学にも強い関心を持つ。

 北海道開拓使時代には、硫黄、石炭の調査をし、爆薬を用いて土地を開墾する手法を実験した。
 外交官としては、対ロシアとの間に樺太・千島交換条約を成立させた。
 逓信大臣として電機産業の育成につとめ、函館海底電線工事を完成させた。「〒」のマークを採用したのも彼である。
 農商務大臣としては足尾鉱毒事件の現地視察をおこない、鉱毒調査委員会を設置した。
 また民間のメキシコ殖民事業をはじめた。
 地学協会、電気学会、気象学会、工業化学会などの会長を務め、また東京農業大学の前身である徳川育英黌農業科を設立した。

 かれは「三現主義(現場、現物、現実)」を掲げた実証的な工学者ではあったが、富国強兵論者ではなかった。むしろ「国利民福」の思想を持ち平和的な殖産興業を主張した。

 福沢諭吉は、彼を「無為無策の伴食大臣。二君に仕えるという武士にあるまじき行動をとった典型的なオポチュニスト。挙句は、かつての敵から爵位を授けられて嬉々としている「痩我慢」を知らぬ男」と罵倒している(『痩我慢の説』)。もっとも福沢は榎本がとらわれの時代にあったときに、彼の有能ぶりを認め、助命嘆願をしたひとりではあったが……………。

 江戸期から維新期にかけて、彼のような「万能人」を探してみると、けっこうおおいと思う。
 キリシタン時代の宣教師たちたとえばルイス・アルメイダ、新井白石とヨハン・シドッチ、平賀源内、渡辺崋山、高野長英、佐久間象山、江川担庵、緒方洪庵、さらに福沢もそのなかにあげられるであろう。明治期の宣教師ド・ロ神父もそのなかに加えたい。
 
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2008年05月19日

昼咲モモイロツキミソウのかれんな蕾


ヒルサキ1 この花最近よく見かける花だが、マツヨイグサの仲間で「昼咲モモイロツキミソウ」という名前の花である。

 原産地北米のかなり繁殖力の旺盛な帰化植物である。


ヒルサキ2 よく観察してみると、蕾に紅い筋が入っていてかわいい。さらによく見るとこの紅い筋は花が開くと、花びらの色になるのではなく、花苞となる。この部分は白地に紅い筋が入っていて、これもまたかわいい。


ヒルサキ3 花はよく観察すると、こういうかれんさ、かわいさ、美しさを発見することが多い。
 「デジカメを持ち歩く生き方」のつくりだすgood news である。
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有さんの水彩画


有さんの絵 私の親友の有さんの絵です。
 なかなかいいできなので、私のブログでも紹介させていただくことになりました。

 丹沢秦野戸川公園でのスケッチだそうです。

 かれは、自分にこんな才能があるんだということを発見してすっかり水彩画にはまっているそうです。
 こういうことってあるんですね。
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松田町の「こども110番」


こども110-5 久しぶりに「こども110番」の看板を見つけました。
 場所は南足柄市です。「21世紀の森」に言った帰りに見つけました。

 なかなかいいものです。ただこれは「南足柄市」が誕生した平成大合併前のもののようです。
 やはり子どものイラスト入りでなくては……………。
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イエズス会総長ニコラス神父のこと

 この3月アドルフォ・ニコラス神父がイエズス会総長に選ばれたというニュースが報じられた。かれはスペイン・バレンシア州の出身。35年前に来日し、それから上智大学教授、東アジア司牧研究所(EAPI)所長、イエズス会日本管区長を歴任された。
 イエズス会総長が、日本管区から選ばれたのは、先々代のペドロ・アルペ神父についでいる。ペドロ・アルペは終戦当時広島にいて被爆した。

 私がニコラス神父にあったのは、1974年来日して間もないころであった。新進気鋭の神学者として、世界的に注目されていたが日本に来ることを選んだということを聞いたことがある。彼と一緒に「解放の神学研究会」をつくり「解放の神学への招き」という書を出版した。彼から教わったことに、ちょうど大学時代に丸山真男の講義を聴いたときのような知的興奮を覚えたものである。

 ニコラス神父と幼なじみだというI神父の終生請願のときに、ニコラス神父はモーニング姿のチャップリンのパントマイムを演じていたが、これが実にみごとであったことが印象に残っている。

 また、1987年(だったか?)に東京でアジア司教総会(FABC)が開かれたときに、かれは私の参加した「信徒の霊性」分科会のコーディネーターをしていたが、この分科会のまとめぶりがまたみごとであった。いろいろな意見を整理して論点をはっきりさせ、そしてそれらを図式化して統合していくあざやかなすすめかたに舌を巻いたものである。

 彼のコーディネーターとしての才能は、日本の福音宣教推進全国会議(NICE)をはじめとする大事な会議や国際的な集まりでいかんなく発揮され、ついには世界の2万人いるイエズス会のトップの「コーディネーター」となったわけである。
 ニコラス総長率いるイエズス会に今後も注目していきたいと思っている。

 「イエズス会」という組織はとても興味深い組織である。私自身、イエズス会の経営する中学校高等学校で学び、在学中に洗礼を受けた。当時一学年に180名の生徒が在学していたが、卒業したころには3分の1以上の生徒が実に洗礼を受けたのである。1965年ころである。
 それからいろいろなところでイエズス会の神父たちと一緒に行動した。ともに行動すればするほど、このイエズス会という組織の魅力にとらわれていくのである。
 これについてはまた改めて書くことにしたい。
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2008年05月16日

テンナンショウに受粉する虫の物語


テンナンショウ これも「森の散策」でよくみかけました。鎌倉の十二所でも城廻の七曲でもよくみかけます。
 別名マムシグサともいわれます。茎の部分の柄がまむしに似ているからなのか、花の形状がまむしが頭を持ち上げた姿に似ているからなのか……………。
 サトイマのなかまである。まえに「サトイモの芽?」という写真を紹介したが、これはテンナンショウかもしれない。
 コンニャクイモもこのなかまだろう。

 雌雄異株で、雄花と雌花の区別の仕方も教わりました。ウィキペディアには次のような説明が載っていました。この話はガイドの原島さんからも聞きました。

 この花にはキノコバエ科やノミバエ科などの小昆虫が誘引され、付属体と仏炎苞の間の隙間を通過して花の周囲の部屋に閉じ込められる。雄花ではこの部屋の下部に雄しべから出た花粉が溜まっており、閉じ込められた小昆虫は花粉まみれになる。雄花の仏縁苞の合わせ目の下端には小さな孔状の隙間があって、花粉をつけた小昆虫はここから脱出する。雌花ではこの穴がないため、閉じ込められた小昆虫は外に出られず、いずれ死亡する。この雌花に閉じ込められた小昆虫の中に花粉を体につけて雄花を脱出してきたものがいたときに受粉が成立する。


 雄花には、花粉にまみれた虫が脱出するところが用意されているが、雌花からは脱出できず、雌花に受粉したその虫は閉じこめられてやがて死んでしまう。その虫の死骸が養分となるとこれはもう食虫植物であるが、そこまでは進化していないそうな。
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香りのある草木 マツカゼソウとクロモジ

「札掛まるごと森体験!」の「森の散策」ではヤマビルのほかにいろいろな植物や小動物と出会った。

 なかでも、ガイドの人から教わった「香りのある草木」に興味を持った。これは教わらないと気づかないものである。


マツカゼソウ まずマツカゼソウ。杉林の葉の落ちているところから、ちいさな草が顔を出している。丸みを帯びた葉の緑色はやさしく美しい。木の葉をもむと柑橘系の強い香りを発する。ミカン科のなかまで珍しい草本植物であるという。




クロモジ そしてクロモジ。これも葉をもむと強い香りがする。これは人によって好き嫌いがあるらしい。クスノキ科の木で、樹皮や葉に香りがある。茎は若いうちは緑だがしだいに黒褐色になり、この茎は和菓子の爪楊枝に使われる。また枝葉を蒸留して黒文字油をとる。黒文字油は現在はあまり使われないが、香料としてかつては化粧品などに盛んに使われ、輸出もされた。

 花だけでなく、葉や樹皮に香りのある植物を発見するのも森の散策の醍醐味であるだろう。
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2008年05月13日

オリンパス「私は、こんなに、生きている」の全面広告


olympus 4月17日の朝日新聞に、オリンパス光学の全面広告が載っていて、そのコピーに惹かれた。
「そうそう、まさに私の生き方だ」と思ったからである。いつもデジカメを持ち歩くライフスタイルである。

 私は、こんなに、生きている

デジタルカメラを、ぶらさげて。
いつもより、 ひとつ手前の角を曲がる。
いつもなら、渡らない橋を渡る。
いつもより、きょろきょろしてみる。
いつもなら、気付かなかったものが 見えてくる。

こんなところに 白い花が咲いている。
こんなところに ホーローの古い看板がある。
こんなところに ゾウさんの滑り台がある。
こんなところから 遠くの山が見える。

よく買いに来るこのパン屋さん、
「ショパン」っていう名前だったんだ。
でも店内の音楽は、歌謡曲(笑)。

カメラを向ければはにかむ子供たち、「コンニチハ」。
デジタルカメラひとつで、
いつもの町が違った顔を見せてくれる。
なにげない散歩も、ちょっとした小旅行になる。

写真って、単なる記録じゃないんだ。
ひとつひとつが、発見なんだ。

写真には写っていないけれど、
いつもカメラのこちらには、
わくわくどきどきしている私がいる。
今度はいつ行こうかな。

 ただ私の持っているデジカメはオリンパスではないけれど…………。
 私が初めてデジカメを手にしたのは、1994年カシオの QV-10 だった。最初は38万画素だったか。あれから3台買い換えて、現在の SONY CyberShot DSC-P3 280万画素になる。もっとも今のものはつかって5年目になるかな。
 iPhoto に蓄えられた画像はまもなく1万点になる。

 まさに、このコピーが表現するような「毎日が発見である」生き方をつくりだしてくれたのはデジカメであった。そしてそれを自分だけで楽しむのにとどめず、発表して人と分かち合う場を与えてくれたブログがあったからこそ継続できたのである。
 私の生き方を支えてくれるデジカメとブログに感謝!

 
 
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2008年05月12日

「森体験」でヤマビルに吸血されました。

 「まるごと森体験!」に参加して、もっとも印象的なことは「ヤマビル体験」でした。
 山から下りて、靴を脱いだら、かかとのちょっと上の部分の靴下に血がにじんでいました。ガイドのかたはそれは「ヤマビルに吸い付かれたあとだ」といわれました。

 森の散策に行く前に、なんども注意されました。
「長靴を持っている人はそれがいちばんです。持っていない人は靴や靴下に塩をすり込んでください。ナメクジと同じで塩は苦手なのです。ときどき足元を見て、ヤマビルがいないかどうか確かめましょう。」
 で、わたしも一応塩をすり込んだのですが、それでも被害に遭ってしまいました。しかも靴下の上から吸血していたのです。
 痛くもかゆくもないので、なかなか気がつかないのです。毒があるとかそういうことはないようなので。さされても心配することはないのですが、あまりきもちのいいものではありませんね。

 ここのところ、ヤマビルが札掛地域に大発生しているそうです。原因はよくわからないのですが、鹿の大発生と関係しているようです。ヤマビルはよく鹿のひづめの間に寄生し、それによってあちこちに移動するとか。だから鹿が立ち寄ったような所には要注意です。

 まえに「コウガイビル」の話を書きました。コウガイビルは扁形動物ですが、ヤマビルはゴカイやミミズと同じ仲間の環形動物で、異なった仲間だそうです。
 ヤマビルを調べてみると、なかなか興味深いことがわかってきました。


ヤマビル1 赤褐色で体長2〜5cm、背中に3本の黒い縦筋あり。
 シャクトリムシのように1分に1mのスピードでほふく移動する。
 足音(振動)、呼気、炭酸ガス、体温、体臭で感知する。木の枝から落ちてくることもあるが、たいていは足下から上がってくる。
 前吸盤に3つの口を持ちそれぞれに約80の歯がある。皮膚をY字に傷つけて吸血。
 モルヒネのような物質を分泌し麻痺させるので、吸血されても痛くない。
 血液凝固を防ぐヒルジンを分泌するので、血が止まりにくい。
 一度に体重の10〜20倍程度(1cc)の血を吸う。吸血時間は1時間程度。
 一度吸血すると一年以上生存可能。
 雌雄同体
 産卵には吸血が不可欠。吸血後、約2週間ほどすると卵を産む。

 神経を麻痺させるものや血液凝固を防ぐものを分泌するというあたりは、医学的、薬学的にも興味あるものですね。


ヤマビル2 ヒル(蛭)という字は、なぜか虫ヘンに「至」という字なので、親しみを持ってしまうのです。実はわたしの名前は「至(いたる)」なのです。
 丹沢山塊には「蛭が岳」という神奈川県の最高峰の山があります。この名前が示すように、このたありにはもともとヤマビルのおおい地域なのでしょう。

  

 
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2008年05月11日

「札掛まるごと森体験!」にいってきました。

 5月10日〜11日と県立札掛け森の家主催の「札掛まるごと森体験!」にいってきました。この時期の「森の美しさ」を満喫してきました。楽しく有意義な体験で、すっかり森の魅力にとりつかれてしまいました。

 これは「県のたより」にで広報されていたもので、参加者は家族連れも含めて10名でした。


札掛地図 あいにくの雨のために「人工林の整備」はできませんでしたが、丹沢資源保護協会会長の話を聞いたり、森の散策を雨の中行いました。雨の森もまたよしです。
 なによりも青葉若葉の森の美しさはこの時期だけに体験できるものなのですね。


ケヤキ林 黒龍尾根散策コースの中には、樹齢100年以上のモミの木の林があったり、ケヤキの美林があったり、モミの木の考証林があったりしました。これらは神奈川県の美林50選に選ばれている森なのだそうです。

 ここで学んだこと、体験したことを少しずつ紹介していきたいと思います。乞うご期待というところです。
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2008年05月08日

高村光太郎は帰国直後に日本人をこう描いていた。題して「根付けの国」

「詩ってなんだろう」(谷川俊太郎著 筑摩書房刊)にはこんな詩も紹介されていた。

 「根付の国」  高村光太郎

 頬骨が出て,唇が厚くて,眼が三角で,名人三五郎の彫った
 根付(ねつけ)の様(よう)な顔をして,
 魂をぬかれた様にぽかんとして
 自分を知らない,こせこせした
 命のやすい
 見栄坊な
 小さく固まって,納まり返った
 猿の様な,狐の様な,ももんがあの様な,だぼはぜの様な,
  麦魚(めだか)の様な,鬼瓦の様な,茶碗のかけらの様な日本人


 高村光太郎は,詩人であり,彫刻家である。「智恵子抄」はあまりにも有名である。
 この詩は,明治44年1月に発表されたもので,長い外国生活から帰った直後に書かれたという。そんなかれには日本人がこのように見えたらしい。

 根付は,印籠や煙草入れなどを帯に挟んだとき,落ちないように,それらの紐の端に付ける小彫刻や珍石などのこと。今なら携帯のストラップの端に付けるグッズにあたるだろう。
 名人三五郎は,根付彫刻の名匠といわれた人。ただし、ほかの詩集には「名人周山」とでていた。
 ももんがあは,リス科の動物モモンガのこと。

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郡山半次郎「舌もじり」は楽しい言葉遊び

「詩ってなんだろう」(谷川俊太郎著 筑摩書房刊)を読んでいたら、郡山半次郎作「舌もじり」に出会った。
 こういう詩が紹介されていた。

 しかもかもしかもしかだがしかし 
 あしかはたしかにしかではない


 ばった

 ばった ねばった ふんばった
 いばった ばった がんばった

 ばった しまった はやまった
 こまった ばった あやまった

 ばった へばった くたばった
 はいつくばった しんじゃった

 ほかに探してみたら、

 くついくつつくる くついつつつくる

 このこのみのこのあまみ このこのみのこのおもみ

 はものやきものやはきものや 
 さかやにかさやにさかなやに 
 やおやややどや

 こがめもこがももこがもめもかごのなか

 この作者郡山半次郎氏は、島津家代々のお抱え絵師を曾祖父に持つかたで、言葉遊びの詩人で朗読とオブジェ作家で活躍しておられるとのことです。

 郡山健次郎氏について以前このブログでも紹介したことがあるカトリック教会の鹿児島司教さんなのですが、ひょっとするとご兄弟なのではという感じがしました。お名前といい、薩摩の方であるところといい、風貌や性格といい、よく似ているのです。
 この司教さんも肩書きに似合わずじつにさばけた愉快な方です。
 もし違っていたら、失礼!です。
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2008年05月07日

「手当て(Te-Arte)」学の提唱

 「手」という接頭語のついた言葉が日本語にはいかに多いか、辞書を引いてみるがいい。

 手切れ、手際、手ぐすね、手癖、手練手管、手口、手配り、手心、手こずる、手ごたえ、手込め、手強い、手先、手頃、手探り、手さばき、手触り、手品、手締め、手酌、手順、手錠、手燭、手職、手数、てずから、手漉きの和紙、てんてこ舞い、手すさび、手勢、手塩……………。

 いずれも、機会や装置に頼らずに心を込めて手を動かし人や物に接するときに使うことばで、日本語らしい美しい言葉がおおい。

 「手当て」もまさにそのような美しい日本語の筆頭であろう。このことばを「Te-Arte」として「もったいない」に続く国際語にしようと提唱している人たちがいる。

 3月27日の朝日新聞夕刊「ニッポン人脈記」に紹介されていた川嶋みどりさんもそのひとりである。川嶋さんはナイチンゲール賞を受けた元日赤看護大学の教授である。

(夫の)威が「胸が苦しい」というと、若い看護師は動脈血の酸素を測る機械を持ってきて、数値を読み、「大丈夫です」。川嶋はいらだった。モルヒネの量を増やしてすぐでていく看護師に「もう10分、見ていられないの?」
 いちばんショックだったのは、せっかくの緩和ケア病棟なのに機械や薬ばかりで、肝心の手で触れるケアがほとんどなかったこと「背中をさするとか、体の向きを変えるとかで、すごくやすらぐ。ナイチンゲールをも言っていますが、看護不足が患者の苦しみをつくるのです」

 カトリック教会にも「按手」という儀式がある。頭に手をかざし、その人の魂のいやしのために祈る儀式である。
 ある新宗教では、この「手かざしパワー」を布教に利用している。
 「手当て」という言葉はまさにその手の持ついやしのパワーの存在を裏付けるような言葉であろう。美しくも力強い日本語である。
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