今年の「宗教倫理ワークショップ」でこんな模擬授業がありました。なかなかおもしろかったので紹介しましょう。
題して「My Crayon」
4人ひと組、机を囲んで輪になって座ります。 ひとりに一枚ずつ画用紙とクレヨン1本が渡されます。クレヨンはそれぞれ色が異なっています。
3つのルールがあると説明されます。
第1ルール 与えられたクレヨンが今日のあなたのカラーです。その自分のクレヨンで描くこと。
第2ルール 1回2分で描いたあとに右隣の人にまわしていきます。右隣の人はその絵がよりよくなるようになにかを追加して描きます。このようにして2巡して最後に自分が書いて完成です。
第3ルール この作業は無言で行います。絵の意味を書いた人に聞いてはいけません。
「自分の大切にしているもの」というテーマが与えられました。
さあスタートです。みんな黙々と絵を描いています。2分たつと「隣にまわしてください」という指図があります。
次に書く人はその絵の意味を勝手に創造しながら、その絵をよりよくするためになにかを追加して描きます。
最初に書いた人は3回、それ以外の人はひとつの絵に2回絵を追加して描き、それを自分を含めて4人分することになります。
絵を描き終わって、それぞれの絵の意味を説明していきます。最初は何を描こうとしたのか、次々に加えられていくものを見て何を感じたのか、どういう意図でそれを描き加えたのか、ということが報告されます。
いくつかの例を出しましょう。
灰色のクレヨンを持った人は、教会の建物を書きました。
次のオレンジのクレヨンの人は「教会は建物ではない」と思い人びとを次々に加えていきました。
ピンクのクレヨンを持った人は、教会の周りに花や小鳥を加えました。
緑のクレヨンの人は、野山や教会に芝生を敷き詰めました。
2巡目で灰色の人は、ルルドや鐘楼を付け加えました。
オレンジの人は、車いすで来た人が教会には入れないという図を加えました。
ピンクの人は鐘が鳴っていることを示すように音符を加えていきました。
というわけで教会が完成したのです。
こちらの絵では黄色のクレヨンの人が最初でした。彼女にとって一番大事なものは薬だったのです。朝、昼、夜と分けて飲む薬とコップの水の絵を描きました。
緑のクレヨンの人はその絵はきっと食事の場面を描いたのだろうと、いろいろな料理を加えました。
茶色のクレヨンの人は、箸がなければ食べられないと箸を追加しました。
青のクレヨンの人はコップの数が足りないと思ってコップを足しました。
この絵をはじめに書いた黄色のクレヨンの人は困ってしまいました。そこで右上に人の絵を描きました。
でもあとの人はその意味が分からずに、ますます食卓を豊かにしていきました。
あとで黄色の人の説明があったときに爆笑でありました。
この作業の目的は「自己肯定感を高める」というものでありました。つまり前に書いた人の絵をそのまま受け入れて書き足していくわけです。最初に絵を描いた人は皆から肯定されたのだと感じるのがこの目的だというのですが、実際はどうだったのでしょうか? 肯定感は高まったのでしょうか。
目的はともかく、絵をこのようにして描くことはなかなかおもしろいものでした。
posted by mrgoodnews at 01:40|
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