2005年06月30日

橘曙覧「独楽吟」を知っていますか


2005063075c2dae9.JPG高2「倫理」の授業では江戸時代の思想家をとりあげています。
その導入部分にぴったりの話を見つけました。
それは橘曙覧(たちばなあけみ)のことです。ご存じですか? もしご存じならたいしたものだ。
私は名前は知っていたというくらいで、歌もかすかに記憶に残っていました。
この人は江戸末期の国学者、歌人です。

実はこの人を教えられたのは、私の通学途上にある青少年会館の掲示板でした。
ここにとても個性的な掲示が月替わりででるのですね。
時に山頭火あり、時に金子みすずありで、なかなかいい掲示なので、これを見るのは通勤途上のささやかな楽しみなのです。
しかもそれが上手なのか、下手なのか分からない字で書かれています。
デジカメの写真を添付しておきますのでご覧ください。

その掲示板の今月のことばが橘曙覧でした。
次のふたつの歌がのっていました。

たのしみは妻子(めこ)むつまじくうちつどひ頭ならべて物を食ふ時
たのしみは朝おきいでて昨日までなかりし花の咲ける見るとき

どうですか?

それでこの人のことが知りたくなって、図書館に行って探しました。
見つかりました。
越前福井藩の人で、松平春嶽も慕っていたという歌人ですが、赤貧に甘んじ、それを歌の題材にした。
実はこの「たのしみは」ではじまる歌は「独楽吟」というタイトルが付いていて全部で52首の連作なのです。
それがまたいいのですね。
以下に気に入った歌をいくつかあげておきます。

たのしみは常に見なれぬ鳥の来て軒遠からぬ樹に泣きしとき
たのしみはまれに魚煮て児ら皆がうましうましといいて食ふとき
たのしみはそぞろ読みゆく書(ふみ)の中に我とひとしき人を見しとき
たのしみは心をおかぬ友どちと笑ひかたりて腹をよるとき
たのしみはとぼしきままに人集め酒飲め物を食へといふとき
たのしみは小豆の飯の冷えたるを茶漬けてふ物になしてくふとき
たのしみは神のみ国の民として神の教えをふかく思ふとき
たのしみは戎夷(えみし)よろこぶ世の中に皇国(みくに)忘れぬ人を見るとき
たのしみは鈴屋大人(すずのやうし=本居宣長)のあとに生まれそのみ諭しうくる思
ふとき
たのしみはふと見てほしくおもふ物辛くはかりて手に入れしとき

どうですか? ホントにさりげなく片意地貼らずにそれでいて希望を感じさせるいい歌ですね。
これぞ正に日本人という感じです。
「神のみ国」というのがでてきてびっくりしました。国学者だからこれはもちろん日本の神々ですが、キリスト教の神でもいっこうにかまわない、というよりは、そちらの方の歌だと考えた方がいいとさえ思います。



posted by mrgoodnews at 00:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 本、映画など感動のメディア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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