2005年10月10日

「感動のメディアカタログ」その2


20051010566e42f6.jpg昨年の「感動のメディア」カタログに出ていたものから紹介しましょう。

彼女たちが挙げてくる作品には、大人の世界にはあまり浮上してこないものが結構あります。口コミで推薦しあって、伝わっていくという彼女たちが持つ独特のチャンネルがあるのですね。
15年前には、それは「アルジャーノンに花束を」(ダニエル・キース著)でした。これは大人の世界のベストセラーには決して浮上してこなかったけれど、10年かかってミリオンセラーになった小説です。
この作品はどうも尾崎豊がコンサートで「アルジャーノンを知っているか?」と叫んだとかいわれ、そこから火がついたという伝説があります。

ところで、昨年の「感動のメディア・カタログ」の作品の中で多く挙げられたものはいったいなんだと思いますか?

特に定番ものとしてあげられている感じの作品は、私も図書館で借りて読むことにしています。
昨年一番多く挙げられていたのは
「世界の中心で愛を叫ぶ」片山恭一原作です。いわゆる「セカチュー」ですね。
これは映画化されていて、映画のほうがいいという生徒と原作の小説のほうがいいという生徒に別れています。
まあ、これは「流行もの」なのでしょう。

次に目立ったのは青木和雄という人の作品集でした。
「ハッピーバースデー」「ハードル」「ハートボイス」「イソップ True Friends」というような作品が挙げられています。
何人かの先生たちにこの作家を知っているかと聞いてみたのですが、国語の先生の一部を除いてほとんどの先生は知りませんでした。かくいう私も知らなかっ たのです。
この方は横浜市の教育委員会の指導主事を務めたり、教育相談室長を歴任されたカウンセラーなのですね。

たとえば「ハッピーバースデー」はこんな内容です。
「生まれてこなければよかった」誕生日にいわれたママの一言から声が出なくなった藤原あすか。でも祖父母の愛に癒されて心と声を取り戻すと自立への一歩を踏み出す。一方小さいときの心の傷からあすかを愛せないママ。そして親のいうなりの人生に疑問を持ち始める優等生の兄・直人。それぞれの生き方が共感を呼んだ感動のベストセラー。

「ハードル」
容姿、成績共に抜群のバスケ部のエース・有沢麗音が転校した学校で非常階段から転落。事件か事故か。麗音の仲間達は大人が隠そうとする真実に立ち向かっ
ていく。自分たちの正義と勇気をただひとつの武器として。

「ハートボイス」
「やりにくい子ね」先生のいわれた言葉がきっかけで不登校になった白鳥純生は、それでも心を殺して学校という場で生きていく、そんな純生の耳に聞こえてきたのはいじめ、差別、受験、息苦しいほどの重圧につぶされなかった子どもたちの「ハートボイス」であった。

あらすじを読んでおわかりのようにこれはいかにもカウンセラーの書いた小説なのですね。
これが今の女子中学生の心をとらえているのです。
「ハッピーバースデー」と「ハードル」はアニメにもなっているようです。
青木和雄の本はいずれも「金の星社」という絵本を多く出している出版社から刊行されています。
私の教会にこの出版社に勤めている青年がいて、このことを話したら、うれしそうに、この「ときめき文学館」というシリーズは評判がいいんですよっていっていました。

「It(それ)と呼ばれる子」という本も4人くらいから挙げられていました。
昨年だったか高2の生徒から「ぜひ読んでください」とすすめられて私も本を借りて読んでみました。
これが読めば読むほど暗澹とする思いにとらわれていく「幼児虐待」の書なのです。
正直に言うと何でこんな本に感動するのかと思うのですね。
確かに内容は衝撃的ですが、虐待され続ける主人公に「もっとしっかりしろ」といいたくなるような思いを禁じ得ませんでした。

もうひとり注目した作家がいます。
アレックス・シアラーです。
「感動のメディアカタログ」に挙げられていたのは
「青空のむこう」(求龍堂 金原瑞人訳)
「チョコレート・アンダーグランド」(求龍堂)
ですが、
他に
「13ヶ月と13週と13日の満月の夜」(求龍堂)
「魔法があるなら」(金の星社)
もおもしろそうです。

「青空のむこう」は青空のむこうからひとりの少年が降りてきた。交通事故であっという間に死んでしまったその少年にはやり残したことがあった。
ぼくはまだ決めかねていた。アーサーはぼくに背中を向けて歩き出した。そのとたんエギーやママやパパや友達、ぼくが知っている人たちの顔が次々に浮かんでどうしてももう一度会いたくなった。みんながいなきゃ生きていけない、死んでることだってできない。すぐにぼくは決心した。アーサーのあとを追いなが ら呼びかけた。
「待って、アーサー。ぼくも行く。」
アーサーは立ち止まってぼくを待った。それから二人で駆けだした。「生者の国」をめざして。

アレックス・シアラーはヤング・アダルトむけの小説を多数書いているイギリスの小説家。
30以上の仕事を経験してテレビドラマや映画の脚本も書いているという。



posted by mrgoodnews at 20:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 本、映画など感動のメディア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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