連載シリーズ
時代小説の中の現代(13)
消された裏切り者がよみがえるとき
−江宮隆之『沙也可 義に生きた降倭の将』をめぐって
高橋 敏夫 著
これは、秀吉の朝鮮出兵のとき、侵略者「日本人」に対抗して、無力な朝鮮王朝から見捨てられ立ち上がった民衆と共闘する「日本人」沙也可を紹介した文章である。
「文禄・慶長の役」と呼ばれる秀吉の朝鮮侵略のさなか、配下を率いて朝鮮側に投降し日本軍と闘った日本人のひとりで、朝鮮に鉄砲をもたらすとともに、数々の武勲をあげ、国王から「金忠善」の名をもらった日本人武士雑賀孫次郎のことを紹介した歴史小説を紹介している。
以前このブログで大友の家臣であった志賀親次は朝鮮出兵のおりに「この闘いに義はない」として戦場から離脱したらしいということを紹介した。この話以上の話しがこの「沙也可」なのである。
この話しは、江宮隆之著の「沙也可 −義に生きた降倭の将」(桐原書店)という歴史小説でも取り上げられているが、さらに司馬遼太郎の。「街道をいく 2 からの国」にもとりあげられていろ。
こんな人物が日本人の歴史上にいたのである。心に留めておきたい