カイロスは「ここぞという好機」を意味し、クロノスは「流れゆく時」を意味するのだそうだ。
語源はともに、ギリシャ神話の神々の名前である。カイロスは、もともとは「切断する」という意味の言葉から由来し、ゼウスの末子で前髪は長いが後ろははげた美少年で表されているという。クロノスはもともとは川の流れを司る神であったようである。
岩波の「哲学思想辞典」にとてもよい解説があった。それによるとカイロスは「宿命あるいは神意によって配列され、人間には決定的応答を要求する時」なのである。言い換えると神の摂理(計画)によって与えられた人間の応答を求める時である。
マルコ福音書では、イエスの洗礼のあとに、イエスはガリラヤにいき、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」(マルコ1章15節)と述べられたとある。このときがまさに「カイロス」なのである。カイロスは「満ちる」とか「熟す」とかいうものであろう。
そして人間の応答を求める。まさに「好機到来」なのである。
また旧約の「コヘレトの書」の3章には
「何ごとにも時があり、
天の下の出来事にはすべて定められた時がある。
生まれる時、死ぬ時、植える時、植えたものを抜く時……………。」
という箇所がある。これは旧約なので、ヘブライ語で書かれてはいるが、ギリシャ語に訳された時は「カイロス」と訳された。
ちなみに、私の学校の「学校報」のタイトルは「カイロス」である。