たあれか風を見たでしょう
僕もあなたも見やしない
けれど木の葉を震わせて
風は通りぬけてゆく
たあれか風を見たでしょう
あなたもぼくも見やしない
けれど木立が頭を下げて
風は通りすぎてゆく
西条八十の訳詞で有名である。
英語の詩は
Who has seen the wind?
by Christina Georgina Rossetti
Who has seen the wind?
Neither I nor you:
But when the leaves hang trembling
The wind is passing thro'
Who has seen the wind?
Neither you nor I:
But when the trees bow down their heads
The wind is passing by.
この詩はヨハネ3章8節がもとになっているという。
風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞いても、それがどこから来て、どこへ行くかを知らない。霊から生まれたものもみなそのとおりである。
風はギリシャ語で「プネウマ」。霊もまた「プネウマ」なのである。
ところで「風」の作詞者クリスチナ・ロセッティ(1830〜1894)はラファエル前派の画家・詩人ガブリエルの妹.13歳で作詩をはじめ,つましい一生に多くの詩をものした.その自然観・人生観・宗教観は雄大でも激越でもないが,詩は谷水のように清く,散る花のごとき侘しさをたたえている.
この女性の詩と生涯もまた調べてみることにしよう。