「セリフ」とは欧文文字の縦線の上下についているひげのような横線のことで、日本語で言えば明朝体に当たる。
「サンセリフ」とは「セリフのない」という意味で、日本語で言えばゴシック書体である。
写植の文字盤は、欧文書体の場合一書体で文字盤一枚であった。アルファベットの場合文字の幅がアルファベットによって異なっていたから、文字盤は一文字が16級(4ミリ角)の文字が基本とされていて、それぞれの文字の送りの歯数が書かれていた。その文字幅を文字の大きさによって換算表で計算しながら、文字の送りを決めていた。
左右をそろえるジャスティフィケーションの場合には計算するのがとても大変であった。
また三角形の文字と逆三角形の文字がつづく時、換算表の送りでそのまま送ってしまうと間隔があきすぎる感じになってしまうので、微調整をしなければならなかった。たとえば大文字のAとTがつづくときとか、大文字のTのあとに小文字のaやoがつづく時など文字の大きさによっては少しずつ詰めなければならなかった。
今ではコンピュータが簡単にこのあたりを処理してしまうが、あのころは手計算で大変だった。
ところでアルファベットの「サンセリフ」系の文字で、もっとも美しい文字は「ヘルベチカ」という書体であると思う。この文字も完成度の高い文字であるといえよう。
「ヘルベチカ(Helvetica)は、1957年に、マックス・ミーディンガー(Max Miedinger)によってデザインされたサンセリフのローマ字書体である。印刷物・広告などで世代・文化を超えて多用されてきた書体であり、現在ではMacintoshなどのパーソナルコンピュータで手軽に利用できる。」とWIKIPEDIA には説明がある。
もともと Helvetica とはラテン語でスイスを意味する言葉である。スイスらしい文字ということになるだろう。