2007年02月10日

「よろこび」という詩 ヴェルアーラン

 神谷美恵子「生きがいについて」(みすず書房)にこんな詩が紹介されている。ベルギーの象徴派詩人ヴェルアーランの詩である。

よろこび  ヴェルアーラン 神谷美恵子訳

おお、燃え上がる朝に始まる美しき日よ
烈々として壮麗なる大地ほこらかに
めざめたるいのちの香り強くはげしく
存在はすべて酔いしれ、よろこびにおどる。
ありがとう、わたしの眼よ、
すでに老いたる額の下でなおも澄んだまま
はるかにきらめく光りを眺めうるを。
ありがとう、わたしの体よ、
疾風やそよかぜにふれて、
なおきりりとしまり、おののきうるを。
すべてのもののなかにわたしは在る、
わたしをとりまきわたしにしみわたるすべてのなかに。
厚き芝生よ、かそけき小径よ、
樫の木々の茂みよ、かげりなき透明な水よ、
あなたがわたしの記憶であり、わたし自身となる。
おお、熱き、深き、強き、やさしき跳躍よ、
もしそれが巨大な翼のように君をもちあげ、
無限へとむかわせたことがあるならば、
ひとよ、つぶやくな、不幸なときでさえ。
どんなわざわいが君を餌食にしようとも、
思え、ある日、ある至高な瞬間に
この甘き、おどろくべきよろこびを
心おどらせてあじわいたるを。
君の魂が君の眼にまぼろしをみせ、
君の存在を万物のなかにとけこませ、
このたぐいなき日、この至上のときに
君を神々に似たものとなしたるを。

なかなかいい詩でしょう。特に
「すべてのもののなかにわたしは在る、
わたしをとりまきわたしにしみわたるすべてのなかに。」
というところがいいですね。
このヴェルアーランという詩人の他の詩も読みたくなりました。
探してみることにします。
神谷美恵子著「生きがいについて」は名著だと思います。

posted by mrgoodnews at 00:50| Comment(1) | TrackBack(1) | 詩、歌、祈り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とても良い詩ですね。
今、「生きがいについて」を読んでいます。
お暇の折「中原中也の詩を覗いてみよう!」http://www.fujiyama-jp.net/wp/?p=1543をご覧ください。
Posted by 藤山照夫 at 2018年05月12日 16:19
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