前に「風」の作者クリスチナ・ロセッティを紹介した。この詩人を調べていくと、いろいろな興味あることがわかってきた。

クリスティナの父はガブリエーレ・ロセッティ、1824年に反君主制主義の政治活動のためにナポリから追放されてロンドンに来た亡命詩人であった。彼はイギリスのキングズ・カレッジでイタリア語を教える教師としてつましい暮らしをしながらダンテの研究を始める。母親は同じくイタリアからの亡命者ファエターノ・ボリドーリの娘フランシスである。
この両親から4人の兄弟姉妹が生まれる。兄はダンテ・ガブリエル・ロセッティ、弟にウィリアム。マイケル・ロセッティ、この兄弟はラファエル前派の画家として有名である。
ダンテ・ガブリエル・ロセッティは妹のクリスチナ・ロセッティをモデルとして「聖母マリアの少女時代」と「受胎告知」の絵を描いている。

「聖母マリアの少女時代」という絵は、いくつかのシンボルが描かれている。百合は天使ガブリエル、シュロとイバラの枝そして赤い布はキリストの受難、積み重ねられた本の題名は「信仰・希望・愛」のキリスト教の3つの徳と「知恵・勇気・節制」のプラトンの3元徳であり、またツタの絡まる十字架、ぶどうの木、鳩などがえがかれている。少女時代のマリアは妹のクリスチナをモデルとして描かれている。

「受胎告知」の絵は、マリアがクリスチナであり、天使は弟のウィリアムがモデルであるとされている。
この天使には羽がないとか、寝間着姿のマリアが品がないとか言われていて、この絵は当時酷評を受けた。伝統的な「受胎告知」のシーンと違って、マリアの表情には「とまどい」が描かれている。
それにしてもこのマリアははっとするほど美しい。ダンテは後に多くの女性の肖像画を描くが、このマリアはその中でももっとも美しいマリアだと思う。
posted by mrgoodnews at 02:45|
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