実は「先着100名様にこの本を無料でさし上げます。ただし、読み終わったらamazon のブックレビューに書き込んでください。」というメールがわたしのところに舞い込んできたことがこの本との出会いであった。
この本はキューブラ・ロスの遺作に当たる本であるらしい、そして彼女自身が「死ぬ瞬間」で展開した「死に逝くひとの5段階の心理的プロセス」を歩んだ記録でもあるという。「それなら一つ読んでみるか」と思って申し込んだ。
その本は程なく送られてきた。「2週間以内にブックレビューに書き込んでください」というので、さっそく読み、約束どおりにただしぎりぎりの期限でわたしもブックレビューに書き込んだ。2月20日現在、33名ものひとがレビューに書き込んでいた。ほとんどのひとがこうやってこの本と出会い、この本を読み、そして書き込んだのだろうか?
わたしの書き込みの内容は次のようなものである。
悲しみぬくことそのものに癒す力がある。
この書の「結びのことば/悲嘆という贈り物」にあることばである。この書でキューブラー・ロスが言いたいことはまさにこの一言に集約されると思う。
彼女は「死ぬ瞬間」で、死に逝くひとの心のプロセスを「5段階」でもって説明した。これは死に瀕した患者の側の心のプロセスであり、それに対応した介護するひとの接し方を提起している。
それに対してこの書は、残されたひとの「悲しみと喪失の体験」を豊富な事例でもって明らかにしようとしている。「死に逝く人を送るひとにも癒しが必要なのです」とも語っている。そのときに涙が、悔恨が、物語が、「生存者の罪悪感」が、あるいは「やり残し」がどのように働くかを語っている。これらすべては、癒しへの正常で健康な回復のプロセスであり、このプロセスを心おきなく悲しむことが新しい人生への移行を形成する。
まさに「悲嘆という贈り物なのであり」「喪失が救済という恩寵の原理は、艱難辛苦が成長の機会となるという原理と同じ」ものなのである。
わたしも喪失の体験をいくつか持っているし、これからもまた何度か出会うであろう。が、この書を読んで「もう平気だ。もう大丈夫だ」と思えるようになった。この気持ちをできるだけ多くのひとと分かち合いたいものである。
この文章は、無料でこの本をもらったことに対する「義理」で書いたものではない。この本を読んで自然に湧いてきた思いを語ったものである。この本は喪失と悲嘆のさなかにある人を 救済する力を持っているのである。この救済を必要としている人はたくさんいると思うからである。わたしもまぎれもなく、それによって救済されたひとりであったのだ。
この本と出会えた感謝の気持ちをこめて、この本の普及にこうやってささやかな協力ができることが嬉しい。