30年ほど昔、友人の女性からプレゼントされたのが、この姉崎一馬写真絵本「はるにれ」(福音館書店)である。わたしも友人への本のプレゼントをするときにはこの本をよく贈る。
この本は北海道の原野にたたずむ1本の「ニレ」の木を定点撮影をした本である。春の芽吹くとき、夏の緑の生い茂るとき、梢だけのとき、そして冬の雪のなか、1本の木がこれほどに美しく変化するものなのか、感動してしまう。私の定点観測もこの写真集に触発されたところ大である。
この本は福音館の月刊子ども雑誌「こどものとも」の1冊として発刊されたが、その後単行本になった。
もう1冊は「ふたごの木」(偕成社刊)。これも2本の並び立つ木を定点撮影している。ただしこちらは谷川俊太郎の詩文付きで、ふたごの木の会話が添えてある。
しかし、谷川俊太郎の詩よりも、この写真のほうが主役である。詩はこのふたごのきの「ふきだし」にすぎないように思える。