2007年10月08日

アリストテレスの「四原因説」

 アリストテレスは、プラトンのつくった学園「アカデメイア」の学頭を勤めたもっとも優秀な弟子であったが、「わたしはプラトン先生を愛する。しかし真理をより愛する」として師のプラトンの「イデア論」を批判する。

 アリストテレスは、現象を生起する原因は4つあるとして「四原因説」をうちたてた。
 先ず「質料(hyle)因」。これは事物を構成しているものであり、ラテン語の「マテリア」である。
 つぎに「形相(eidos)因」。形相とは個物の形に内在する本質とでもいうべきもので、プラトンのイデアに近い。ラテン語では「フォルメ」がこれにあたる。
 さらに「作用因」は運動や現象を引き起こす始原(arche)である。「始原因」ともいう。
 そして「目的因」はそのものの目指す目的(telos)にあたる。

 形相は個物に内在する。たとえば植物の種子には、植物の形相が「可能態(デュミナス)」として内在しており、それが発芽・生長をして「現実態(エネルゲイア」となるとする。
 形相がより大きな割合で内在している存在ほど高級であるとして、もっとも高級な存在は、質料をまったく持たない「純粋形相=神:不動の動者」であるとした。もっとも根源的な始原であり、なおかつ究極的な目的でもある存在である。

 このあたりの理論が、キリスト教との親和性をつくり出し、のちにトマス・アキナスらのスコラ哲学に採用され、ヘブライズムとヘレニズムの融合を可能にした「キー概念」となるのであろう。
posted by mrgoodnews at 00:29| Comment(0) | 人、生き方、思想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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