植物の名前で、日本語で表記されているものと漢語で表記されているものが違う例があるそうです。
その代表は「柏の木」「楓の木」。
先ず「柏」から。
日本では柏餅の葉として有名な柏は、中国では「コノテカシワ」の木を意味するそうです。この木は子どもが手を挙げている姿に似ているということでこの名前が付きました。葉の裏が白い所からこの漢字が来ているようです。この木はわりとよく見る木です。
日本の「柏の木」はどちらかというと 『槲』 のほうが正しいということです。この葉を柏餅に使うのは、葉が枯れても新しい芽が出るまで落葉しないというところから、家がたえずに代々続いていくという願いをこめて餅を包むのだそうです。
漢字の「楓の木」はフウノキという木なのだそうで、「かえで」とは別物です。こういう木です。この木はマンサク科でイチョウなどと同じく生きた化石といわれている木なのだそうです。ただ木の葉は秋になると黄色く色づくところからいつのまにか「かえで」になってしまったのでしょうか?
ちなみに「カエデ」の由来は、葉の形が蛙の手に似ているところから「カエルデ」→「かえで」となったようです。
「もみじ」というのは「秋になって色が黄色や赤に変化する」を意味する動詞の「もみつ」の名詞形から来ているようです。
最後に「楷の木」。これは日本ではあまり見られないので、和名がないらしいです。ナンバンハゼとかよばれたり、ランシンボクともよばれているようです。
ただこの木は孔子ゆかりの木で、孔子十哲と称された弟子の中で最も師を尊敬してやまなかった子貢(しこう)が、孔子の墓に楷の木を植え、この楷の木が世代を超えて受け継がれ、育った大樹は「子貢手植えの楷」として今も孔子の墓所に、強く美しい姿をとどめています。日本でも湯島聖堂にある孔子廟や岡山の閑谷学校跡や足利学校、称名寺に植えてあるとか。
科挙(中国の隋の時代から清の時代までの官僚登用試験)の合格祈願木となり、歴代の文人が自宅に「楷の木」を植えたことから『学問の木』とも言われるようになりました。合格祈願木とされたのは、科挙の合格者に楷で作った笏(こつ)を与えて名誉を称えたからだと考えられています。
「楷」は中国では模範の木とされており、日本においても書体の「楷書」の語源されていて、訓は「ノリ」、意味は「つよくまっすぐ」「てほん」です。
この木も紅葉の美しい木です。