史上初の英語辞典はカラスムギをこう定義する。「穀物の一種で、イングランドでは馬に与えられ、スコットランドでは人を養う」。実は独力でこの辞書をつくった文学者サミュエル・ジョンソンが、嫌いなスコットランド人をこき下ろそうと書いた解釈であった。
これにはジョンソンの弟子のスコットランド人、J.ポズウェルがまぜかえした。「だからイングランドの馬は立派で、スコットランドは人間がすぐれている」。
なかなかみごとな「ツッコミ」である。
毎日の「余録」子はこういうコラムをよく書く。歴史上のトピックスを紹介して、これを現代に結びつけるたぐいのコラムである。実に多くのいろいろなトピックスが紹介され、その博学ぶりに頭が下がる。
今回は、このトピックスから、10年ぶりの「広辞苑」の改訂が発表され、「うざい」「逆ギレ」「イケ面」などの若者言葉や「カミングアウト」「リベンジ」などのカタカナ言葉があらたにくわえられたことと結びつける。
かつてはこういうコラムの展開は「朝日」の「天声人語」子のお家芸であったのだが、今では「余録」子にすっかりお株を奪われた感じである。