日産のセールスには日産が燃料電池車かハイブリッド車を出したら考えてもいいと言っています。日産以外の車たとえばトヨタの車は買うつもりはまったくありません。
朝日新聞の「be on Sunday」には、その日産のカルロス・ゴーン社長の「ゴーン道場」なる連載記事があります。これがなかなかおもしろい。
1月12日の「ゴーン道場」には「日産とルノーの企業文化」のちがいについて次のように述べられていました。
日本は世界で1.2を争う「プロセス重視(process-oriented)」の社会ですね。これは製造業やエンジニアリングの分野では大きな強みです。技術、製造、物流、すべてプロセスが要ですから。しかし、逆にプロセスをそれほど重視しない分野、たとえば非製造業では効率が低くなることがある。外国人ならだれでも銀行口座を開くのに膨大な書類を書かされ、うんざりした経験があると思います。強みは同時に弱みにもなる。
日産とルノーの協議が始まって、エンジニアが一緒に働くようになると、多少の遠慮や行き違いが見受けられました。フランス人はコンセプトや戦略を重視します、それをどう具体的に運営していくかは二の次です。
一方、日本人は抽象的なコンセプトより、実際に何をどう進めるかというプロセスを重視します。だからお互いに「どうなっているんだ」と思うわけですね。
これは裏を返すと、自分の弱い部分を相手の強い部分で補ってもらえるということなんです。フランス人は日本人の同僚からプロセスと実践のための手法を学ぶことでコンセプトを現実の計画に反映させることができる。日本人はコンセプトや戦略を学ぶことで、仕事の幅を広げることができる。「考え方が違う」と割り切ったり、ちがいを批判するのではなく、何を学べるかを見るべきなんです。ルノーと日産が互いにとって最良の提携相手だと言えるのは、違いから学ぶものがそれだけ大きいからなんです。
なるほど、なるほどと読んでいて感心しました。確かにそうなのかもしれません。
こういう世界的な規模で人員の適正配置をできるというのは多国籍企業の強みなのでしょう。
多国籍企業だけでなく、じつはカトリック教会もそれができるし、現にそれを実践しているのです。とくにイエズス会は心憎いほどそれをみごとに実践している世界的規模の国を超えた組織だと思っています。
イエズス会の世界戦略についてはいずれまた言及することにしましょう。