国本静三神父の「音楽サロン」(「カトリック生活」誌2008年4月号)にこの曲の解説がでていた。
作曲者ジュール・エミール・フレデリック・マスネ(1842〜1912)はフランスロマン派の作曲家。パリの音楽院で苦学して学んだあと、ローマに留学。教会音楽やオペラを作曲する。
この「タイスの瞑想曲」は1894年パリ・オペラ座で1894年に初演されたオペラ「タイス」の第2幕に流れる曲である。
このオペラ「タイス」は4世紀の聖女タイスと砂漠の修道士がモデルとなっていて、この修道士はのちの聖バフヌティウスまたは聖アタナシウスであるといわれている。
修道士アタナエルは故郷のアレクサンドリアで幼なじみであった清純な少女タイスが、浮き名を流す遊女となっていといううわさを聞き、深く心を痛めて故郷に赴き、彼女を回心させようとする。タイスは最初は抵抗するが、ついに信仰を受け入れ、砂漠の女子修道院に迎えられたが、修道女になってすぐに神のみもとに召される。
この曲は、修道士の説得と祈りでタイスが回心へと導かれるクライマックスの場面で流される。
国本神父の「音楽サロン」にはここまでしか話が紹介されていないのだが、この歌曲では修道士アタナエルは、タイスの死の場面にたちあう。彼はタイスの死が受け入れられずに、悲嘆にうちひしがれ、やがて身を持ち崩して堕落していくという結末になっているらしい。