なかでも、ガイドの人から教わった「香りのある草木」に興味を持った。これは教わらないと気づかないものである。
まずマツカゼソウ。杉林の葉の落ちているところから、ちいさな草が顔を出している。丸みを帯びた葉の緑色はやさしく美しい。木の葉をもむと柑橘系の強い香りを発する。ミカン科のなかまで珍しい草本植物であるという。
そしてクロモジ。これも葉をもむと強い香りがする。これは人によって好き嫌いがあるらしい。クスノキ科の木で、樹皮や葉に香りがある。茎は若いうちは緑だがしだいに黒褐色になり、この茎は和菓子の爪楊枝に使われる。また枝葉を蒸留して黒文字油をとる。黒文字油は現在はあまり使われないが、香料としてかつては化粧品などに盛んに使われ、輸出もされた。
花だけでなく、葉や樹皮に香りのある植物を発見するのも森の散策の醍醐味であるだろう。