この言葉の意味がわかったのは「ローマ人の物語13巻」を読んでいてわかった。
「ローマ軍は兵站で勝つ」という言葉がこの話にはよく出てくる。つまり、ローマ軍は前線への武器や食糧の補充線を確保したうえで戦いに望むのがローマ軍の強さであるということを示したものである。
この「兵站」が実はロジスティクなのである。
ちなみに「広辞苑」では
作戦軍のために、後方にあって連絡・交通を確保し、車両・軍需品の前送・補給・修理などに任ずる機関・任務。ロジスティックス。「―部」
とあった。つまりは軍事用語なのである。
ここから転じて 「情報マネジメント辞典」には
モノの機能を最大限に発揮させる“支援”に着目した概念で、供給者と需要者の間における原材料や製品・商品の調達・供給を中核としながら、製品やサービスの企画、開発、設計、製造から、運用、撤去、廃棄、設備メンテナンスに至るライフサイクル全体を対象とし、それらの効率化・最適化する無駄のない企業間取引と物流の仕組みを意味する。
もともとは軍事用語で、兵員・兵器・弾薬・食料・衣類・医薬品など作戦に必要となる資源を作戦計画に従って必要量を計算し、計画、確保、管理、補給する活動をいう。この意味では兵站(へいたん)と訳される。ビジネスの世界で用いられる場合は、「兵站」と区別して、ビジネス・ロジスティクスともいう。
とあった。
ただし「ローマ人の物語」によると、ローマ人はこのギリシャ語語源の言葉を使わずに「アルス als」というラテン語を使ったのだそうである。
ラテン語の「アルス」は art (技術)の語源とも成ることばで、ローマ人は「兵站」をもっと広い意味でとらえていたことを示している。単に兵器や食糧を戦場に届けるというだけではなく、戦を「後方支援」することという感じである。
「必要なところに必要なものを届けることによる支援」という意味なら、ミャンマーや四川大地震の被害地域に緊急の援助物資を届けるという今こそ世界的な規模で「ロジスティクス」が必要とされているということであろう。