人間ではありません。ゴキブリでもありません。
それはアリなのです。地球上の生物の1割(1%という説もあり)が実はアリだとか、全部で1兆匹くらい生息しているだろうとか言われています。
その繁栄の理由は、2つ考えられるそうです。
その一つはアリは2つの胃を持っていることがあげられます。1つは自分の栄養となる食物を消化する「個体胃」であり、もう1つは「社会胃」といわれるもので、これは仲間に与える食物を蓄える胃なのです。
アリは食物をみつけるとそれをいったん「そ嚢」というところに蓄えます。これが「社会胃」と言われる部分で、ここに蓄えて巣まで食物を運び、そこで吐き出します。運ぶ途中で仲間から要求されると、口移しで仲間に与えなければならないそうです。
社会胃に蓄えたものは、少しずつ個体胃の方へ流されていき、それが自分のための栄養となります。
鳥などの動物も、ヒナや子どものために餌をせっせと運んでいますが、それは自分の子どものためであり、アリのようにすべての仲間に与えられるものではありません。
アリは、自分の子どもに限らず他のアリに食べ物を与えることが優先されている、そういう生き方をしているのですね。
もうひとつの理由は、その明確な「役割分担」にあります。餌のあるところを探し出す「偵察係」それを運ぶ「運搬係」「生殖のための係」「巣の見張り役」「倉庫係」など実に明確な役割分担がなされています。なかには、何も働いていないように見えるアリもいます。
それでもみなに餌が行き渡るのですね。
自分の居場所で自分の役割を忠実に果たしているのでしょう。自分のためだけに働いているアリは1匹もいないのです。
それぞれの役割を円滑に果たすためにアリはコミュニケーションをしています。そのコミュニケーションは、フェロモンのような物質をメディア(媒体)としています。「こちらに餌がある」という情報や「ここは危険だ」という情報を、フェロモンみたいなものによって伝えているわけです。
だからそのフェロモンをうまく使えば、アリに行列行進させることができるというわけです。
またアリを近寄らせたくないときは、ありを数匹つぶして殺してしまうのがいいのです。殺されそうになると、アリは「ここは危険だから近寄るな」という情報を伝える物質を分泌する、そうするとアリは近寄らなくなるというわけです。
アリの社会の運営原理には、人間たちも大いに学ぶ必要があるのだろう。