中学1年生が5月にするオリエンテーション合宿の帰りのバスの中の出来事です。
生徒(女子校だったので全員女の子)が、カラオケをしたいと言い出しました。上級生だったら自前でカラオケテープを用意していくのですが、そこはまだ入学したての中学1年生、そんな用意はしていません。
担任の先生は「あなたたちカラオケテープを用意してきたの?」と聞くのですが、「バスの中にあるテープでいい」と生徒たちはいうのです。
担任の先生がバスガイドさんに聞くと「演歌ならある」ということです。生徒たちは「それでもいい」といって、曲を選んで歌い出しました。
「矢切の渡し」だとか「津軽海峡冬景色」だとか「北の宿から」だとか、演歌のスタンダードナンバーを歌詞カードを見ながら代わる代わる歌うのです。ほとんど歌ったことのない曲だろうに、どこで教わったのか、これがコブシがきいたりしてけっこううまかったのです。
そして「川の流れのように」ではついに全員で大声で歌っていました。中学1年生の女の子たちが全員で「川の流れのように」を歌う光景はなかなか見られないでしょう。
かわいいというかかれんというか、とにかく見ほれて、聞き惚れてしまいました。
私の教員生活のなかでも忘れられない思い出です。