2008年08月29日

いよさんと皿洗い楽しいよ♪

 以前は食事のあと依代さん(母)はこういっていた。
「食器はそのままにしておいて。あとでわたしがぼちぼちかたづけるからね」
「そうかい。じゃあ頼むね」
といってそのままにしておくと、翌朝いっても片づいていないことが多い。別に依代さんがその気がなくて言っているのではなく、忘れてしまうのである。
 だから、わたしたちはそのままにしておいて依代さんにまかせるのをやめて、食後すぐにこういうことにした。
「さあ、依代さんの出番だよ。」
「出番て何が」
「食事のあとは何をするのかな?」
「食器洗いだね。じゃあするとするか。」
「依代さんと一緒に食器洗いをするのは楽しいな」
こういって、食器を流しまで一緒に運ぶ。。
そして水道栓を開いて水を流しながら、再び
「依代さんと一緒に食器洗いをするのは楽しいな♪」と節を付けながら詠う。
「わたしゃ、ちっとも楽しくないよ」
「依代さんは楽しくなくても私は楽しいよ」
「そうかねえ」
「そう、依代さんは自分は楽しくなくても人を楽しくさせるんだよ。依代さんと一緒に何かをするととても楽しいんだ」
「何がそんなに楽しいんだい?」
「依代さんがいろいろと言うのがたのしいんだ。『ふ〜』とため息をついたり、『あら〜』とか「う〜う〜ん」とか『え〜え』とか『あらよ』とか、とにかくどんどんなにかを言って」
「そんな〜。わたしゃ傾けると音を出す人形ではありませんよだ。」
「そう、その『そんな〜』がいいんだ。皿を洗う手を休めることなくもっともっと楽しい音を発して。」
とか、こういうやりとりを続けていくうちに食器洗いが終わる。
「さ〜て、おわったよ。ありがとう。おかげでキレイになった。楽しかったね。またやろうね。依代さんと楽しい皿洗い♪ 依代さんは人を楽しませる天才だね」

 これが毎回繰り返される「依代さんと楽しい皿洗♪」のくだりである。
posted by mrgoodnews at 20:41| Comment(0) | 母の「介護」体験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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