この本で「重心」というもののおもしろさを学んだ。
たとえばこんな話である。
厚紙に芯を差し込んでコマをつくるとき、普通は円盤状に厚紙を切るが、これは必ずしも円盤状でなくてもよい。任意の形に切り抜いた厚紙でも重心の位置に芯を差し込めばコマのようによくまわるということである。
重心を捜すには指に載せて釣り合うところを探せばいいのだが、より正確にするには、厚紙のある点に意図を結びつけ、その厚紙をぶら下げて鉛直線を引く。別な点から同様に厚紙をぶら下げて鉛直線を引く。その鉛直線の交点が重心となる。
ただし形によっては重心が厚紙の上に来ないときもある。このときは芯が差し込めないから、この場合にはコマができないということになる。

図のようにニンジンの重心を捜し、その重心をとおってにんじんを二つに切る。さてこの二つのニンジンの重さはどうなるか?
1.頭の方が重い。
2.しっぽの方が重い。
3.同じ重さである。
「仮説実験授業」だと、実際の重さを量る前にディスカッションになり、その後で測るという展開になる。
実際に測ると、実は頭の方が重いのである。なぜだろうか?
頭の方の部分の重心と切る前の重心との距離としっぽの方の重心と切る前の重心との距離が関係する。当然頭の方の重心間の距離の方が短く、しかもこれが釣り合っているのだから、短い方の頭の方が重くなければならないであろう。
重心とコマの芯との関係は興味深い。
前に「おもしろ科学体験塾」で「マクスウェルのコマ」という実験をした。これもまさに重心が問題になった。これについてはまた改めて書いてみたい。これも実に不思議な実験だった。