
魔法陣とは、1からある数までを正方形に並べて、タテに合計してもヨコに合計しても、あるいはナナメに合計しても同じ数になるものをいう。
タテヨコ4ずつの16コマの魔法陣で、1から16までの数を入れた魔法陣に「メランコリアの魔法陣」というのがある。
この魔法陣はタテ、ヨコ、ナナメの合計だけでなく、4等分した正方形の中の数も、四ずみの数も、まん中の正方形の数も、残った2個ずつの数をそれぞれ向かい合ったもの同士の数も、その合計が34になるというスグレモノの魔法陣である。

この版画は翼の生えた科学の天才が科学の謎解きのために考え込んでいる絵である。長い間の思考ののちに何かがひらめいたのであろう。虹がかかり鐘が鳴り、天使が祝福している。その絵の壁に掛かっているものがじつにこの「メランコリアの魔法陣」なのである。

また彼は、エンペドクレス=ヒポクラテスの四体液説と占星術を結びつけ、黒胆汁質がつくりだす「メランコリー」が、芸術家や科学者に共通してもっている創造性の源のように考えていたようである。