ここが横浜市内や藤沢市の各地でおこなう子ども対象の教室は全部で300回を超すのではないかと思われる。そのくらい大規模に科学運動を展開している。
今回は子ども対象ではなく、大人の会員対象の交流会である。たんけん工房の通常のクラスで子どもたちを前に実験工作をすることを、ここでは大人の会員対象に演示実験を行っている。参加者は100人を超えていた。
各ブースで演示しているメンバーは60代後半から70代男性が圧倒的に多い。その人たちがペーパープレーンやスターリングエンジンやICラジオや静電気実験やマックスウェルのコマ、ヘロンの噴水や草木染めや……などを説明している光景は、たぶんここ以外では見られないであろう。
おじいちゃんと孫たちによばれているであろう方々が、ここで子どものように夢中になって熱っぽく説明しているという光景は感動的でさえある。
女性は少ないが、それでもけっこういる。
ブースでの展示以外に講演形式で行っているものもある。
やはり圧倒的に物理系が多い。化学系もいくつかあるが、生物系はほとんどない。
ふだんは、子ども相手にこれを展開しているので、ここが大人の会員だけで行われているのが、とてもものたりなくもったいないという感じがした。子どもにも来てもらって一緒に楽しめたら、子どもたちもきっと興奮するだろうと思った。科学少年・科学少女にはこんなに刺激的な所はそうそうあるものではない。
一回一回のたんけん工房だけでもサープライズと発見、さらに工作を完成した喜びというのが体験できるのだが、ここではそのほとんどすべてを見ることができるのだから………。
それにしてもこのグループはスゴイの一言に尽きるような気がする。私もとても興奮した一日であった。
ぜひ子どもたちも参加できるものにしてほしいという望みがますます強くなった。きっといつか近いうちに実現できるであろう。
以前、「たんけん工房」の代表を務める安田さんに、こういう科学運動はほかにもありますか?ときいたことがある。
「ないことはないけれどこれだけの規模で行われているところはないでしょうね。」
「ガリレオ工房やよねむらでんじろうさんのところもなかなかみごとだけれど、あそこは理科の先生が中心なんだよね」
と話されていた。ここには理科の先生はほとんどいなくて、教育にはシロウトだけれどもと企業で技術畑を歩いてきた人たちが多いのだそうである。確かにそこがこの「たんけん工房」の特徴であるだろう。
私も、理科の先生たちがするものよりも、ずっと価値があると思っている。
私は元教員だが、理科系の教員ではなく、文科系の教員であったところが異彩(?)を放っているとひそかに自負しているのだが………。