毎日新聞の「発信箱」というコラムで経済部の福本容子記者はこんなふうに紹介している。
人口10万人あたりの自殺者数で日本は20.3人となり、世界先進29か国中2位。全体が減り続ける中、日本だけは高止まりしている。1位はハンガリーの22.6人だったが、80年代のピークから半減している。
報告書「09年ファクトブック」にこうある。「自殺率と国の経済水準とは無関係であるが、生活満足度とは関連がある」
確かに、国民の生活満足度の最低はハンガリー、日本はしたから4番目である。
もっと詳しく見ていくと「2位」の輪郭が浮かんでくる。
「昨日感じたこと」の調査で「私は大切にされている」の回答率で日本は最下位。
「誇らしいことをした」もしたから3番目。
逆に「憂鬱」の多さは1位だった。
「この1か月で見知らぬ人を助けた」の回答率が一番低かったのも気になる。
フィンランドはかつて自殺がとても多かったが、国も積極的に自殺予防策に取り組んだ結果、自殺を減らした。そのフィンランドの調査で興味深い結果が報告されている。
「働きがいを高めてくれるもの」でもっとも答えが多かったのは「給料」でも「雇用の安定」でもなく「役立っていると感じること」だったのだ。
このコラムは「役に立った、必要とされている、と感じる気持ちは思った以上に大きな力なのかもしれない」と結んでいる。
つまり自殺率の高いことの重要な原因のひとつは「役に立った」「必要とされている」と感じることが少なく「自分なんていなくてもいい」「必要とされていない」と感じる人が増えているということであろう。
このことをもっと考えていくことが今求められているのであろう。