2009年05月20日

「生きがいの法則」は大発見だと思う。

 野田正彰著中公新書「生きがいシェアリング」を読んでいたら、こんなことが書かれていた。これは大発見だと思う。

 生きがいとはどうやら他者との相互関係の中にあると考えられる。それを定式化すれば次のようになる。

「生きがい」=「他人からよせられる関心」× 「それに応えているという自覚」

 先ず他人からよせられる関心がある。それに応えているという自覚が生じる。そしてその2つの積として生きがいが生じるのである。
 他人の関心がないのに自分だけで勝手に自負、ひいては生きがいを保つのは難しい。
 視点を変えれば、生きがいとは富とか地位と異なり、無限に創ることができるものであるといえる。私が身近な人の生き方、興味、得意とするものに関心を示すならば、相手はそれによって励まされて、生きがいを感じるのである。多くの人の生き方、存在に関心を持てば多くの生きがいが創られる。
 生きがいとは関心によって不断に分配可能なものである。他人への関心がその人の生きがいにつながるものと見れば、私は深い歓びを得る。
 同時に周囲の人びとは私のなかにさまざまな関心を見つけ出し、私の自負心をかき立ててくれるだろう。


 私ふうに言いかえれば、つまり、生きがいとは、人から必要とされている度合いとそのニーズ(必要とされていること)に応えられることとの積ということになる。
 誰からも必要とされていない、むしろ邪魔な存在とみられていると言うことは生きがいの喪失につながるであろう。
 そして必要とされていても、それに応えられないのであれば、また生きがいも消え去ってしまう。
 他人から必要とされることとその必要に応えられることとは確かに生きがいを構成する重要な要素であることはまちがいない。

 しかし、無名の多数からよせられている関心は受け手にとって真の関心ではない。それは幻想のなかの関心であり、そこから創られる生きがいは華やかに見えて空虚である。
 真の関心は少しでも知り合っている人から向けられた関心である。よく知っている人から「ああ、あなたはこんな生き方をしていたのか、こんな能力があったのか」と関心をむけられた、真実の生きがいを感じ取る。
 マス社会の関心から、個別の人間のネットワークのなかで生み出される関心へ、私たちは関心を作りかえる時に来ている。
 そうすれば生きている実感は絶えることはなくなるのではないか。私たちは勤勉によって生きがいを所有ないし、独占しようとした時代から「生きがいシェアリングの時代」に映っている。


 この定式によると、問題は「後期高齢者」とか「障害者」なのだろう。つまり、こういう人は「他人から必要とされること」も少ないし、「その必要に応える」こともほとんどできない。この人たちにこの定義・法則を伝えるにはどうしたらいいのか、お考えをお聞かせください。
posted by mrgoodnews at 23:40| Comment(3) | 人、生き方、思想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「生きがいの法則」ですが、人から必要とされる・・という必要性の高い言葉より、人から関心を向けられる、とか、気にしてもらう程度の軽さでもいいような気が・・・します。仕事ではないので。その必要に応える・・・というより、その思いに応えられるくらいのもので。高齢者でも、障害者でも他人に「居るんだね?」「元気かな?」「調子はどう?」と存在を認め合える間柄が築ければ生き甲斐に繋がるのではないでしょうか?
Posted by R. 多田 at 2009年06月04日 13:30
相互関係が築けるというところは目標位にしないと、虚しい人が増えてしまいます。他との関わりが無くても、正しいと思うことを楽しんで行っている人。それができる状態(自分がある)が生き甲斐の正体ではないでしょうか。誰も見ていないところにもあると思います。
Posted by ふさ at 2010年02月04日 13:29
多田さん、ふささん、コメントをありがとうございます。

たしかに多田さんの言われるとおりに、「人から関心を向けられるとか「気にしてもらう零度の軽さでもいい」のでもいいのかもしれません。ここであまり根を詰めると「いきがい」がほんの一握りの人だけのものとなってしまう恐れがあります。

ふささんの言われるように「他人との関わりがなくても正しいと思うことを楽しんで行っている人。それができる状態(自分がある)が生き甲斐の正体ではないでしょうか。誰も見ていないところにもある」とわたしも思います。
わたしも本文の最後のところで述べているように、この「生きがいの法則」は「大発見」だけれど生きがいのすべてをカバーできないと思っています。
さらにつづけて考えていきたいと思っています。
Posted by mrgoodnews at 2010年02月05日 11:00
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