私の学校では理科の野外実習で高校1年生は箱根に行きます。このときに理科の先生はバスの中で「箱根八里」の歌を講釈するのが慣例となっています。
あの滝廉太郎の曲で、作詞は鳥居忱(まこと)という人だそうです。そういえば私たちはあの歌をほとんど意味も分からずに歌っていました。話しに参加していた教員たちは、みなでその歌の詩を思い出します。国語の先生が解釈してくれました。
箱根の山は天下の険
函谷関も ものならず
万丈の山 千仭の谷
前に聳え 後方に支う
雲は山をめぐり 霧は谷をとざす
昼なお暗き 杉の並木
羊腸の小径は 苔なめらか
一夫 関にあたるや 万夫も開くなし
天下に旅する 剛毅のもののふ
大刀腰に 足駄がけ
八里の岩根 ふみならす
かくこそありしか 往時のもののふ
箱根の山は天下の岨
蜀の桟道 数ならず
万丈の山 千仭の谷
前に聳え 後方に支う
雲は山をめぐり 霧は谷をとざす
昼なお暗き 杉の並木
羊腸の小径は 苔なめらか
一夫 関にあたるや 万夫も開くなし
山野に狩する 剛毅のますらお
猟銃肩に 草鞋がけ
八里の岩根 ふみやぶる
かくこそあるなれ 往時のますらお
みんなで記憶をたぐり寄せて、やっと2番まで思い出すことができました。
こうやって文章にすれば、ああそういう意味なのかと分かるところもあるのですが、ほとんどは意味も分からずに歌っていました。
ただ問題は、この歌を知っている生徒が、年々とても少なくなっているとのことです。
国語の先生は、「かくこそありしか」「かくこそあるなれ」という文句から「こその係り結び」を教えるのですが、知っている生徒が少なくなってこれも通じなくなっているとか。